日時:2017年6月23日(金)18時30分〜20時30分
場所:東京大学医科学研究所 2号館2階大講義室 http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/access/access/ http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/access/campus/ (キャンパスマップ10番の建物の2階です)
会費:¥1,000 (NPO健康医療開発機構会員、学生は無料)
定員:70名
講演タイトル:『海外のがん情報を提供するボランティア』
講師:野中 希氏((一社)日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT:ジャムティ)副理事長)
参加ご希望の方は事務局sanka@tr-networks.orgまでご連絡下さい。
なお、特にお申し込み受付のご連絡はいたしませんが、会場の都合により定員に達し次第、申し込みを締め切ることがございますので、 その場合のみご連絡いたします。ご了承ください。
【プロフィール】
(一社)日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT:ジャムティ)副理事長。(医療翻訳者、ライター)関西学院大学社会学部中退。2012-2013年日経メディカル契約記者。 現在2カ所の臨床試験機構で倫理委員を務める。 2002 年、家族のがん闘病経験から欧米と日本との医療格差と情報の必要性を痛感し、2004 年『海外癌医療情報リファレンス』(https://www.cancerit.jp/) ボランティアサイトを開設。2009年、一般社団法人 日本癌医療翻訳アソシエイツ(JAMT:ジャムティ)を設立。
【講演概要】
家族をまれながんで亡くした経緯から、情報の必要性を訴え、2004年『海外がん医療情報リファレンス』を開設しました。サイトでは、 約120名以上のボランティア翻訳者と50名以上の監修者が一丸となり、がん関連ニュースを日々翻訳、配信しています。米国がん研究所(NCI)、 米国食品医薬品局(FDA)承認ニュースはじめ、各大学や学会ニュースなど、信頼性の高い情報源からのリリースを年間300〜400記事、これまで4000記事以上のニュースを提供してきました。
● 医療情報の国レベルの格差 海外と日本の医療情報を比較した論文に、「インターネットがん情報の日米比較」(Journal of Thoracic Oncology 4: 829, 2009)東京大学医学部付属病院 後藤悌医師(現JAMT理事)があります。 2006年、日米の著名なインターネット検索エンジンで、「4期非小細胞肺癌」「治療」をキーワード検索で上位50サイトについて調べた結果、米国では約8割が正しい情報であったのに対し、 日本では約3〜4割しかなかったという結果が得られています。
米国では、医療の進歩と人類のため、国立医学図書館のPubMed(Medline)データベースを公開しており、英語では患者もエビデンスの原著にあたることができます。 がんの情報は、NCI、他の機関や情報サイトから医学的に正確で最新の情報が数多く発信され、患者も希望すれば医療者と同様の情報を得ることもできます。 残念ながら、日本には言語の障壁に阻まれアクセスできません。
● 国際的な患者アドボケート活動 2011年、2012年米国臨床腫瘍学会(ASCO)、2011年、2016年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)患者アドボケート枠で国内外の学会にも参加しました。 2011年にワシントンD.C.にある米国立がん研究所(NCI)にて翻訳活動のための会合、2012年にはMDアンダーソンがんセンターを見学し、 臨床試験の倫理委員としての関心からリサーチナースにインタビューしました。
これからの「Shared decision making(情報共有による意思決定)」による患者参加型医療のために、患者と医療者の情報の非対称性を解消するにはどうしたらよいか、 そして患者の医療リテラシーのさらなる向上について考えるヒントになればと思います。