がん免疫療法への期待と関心が大きく広がっています。 最も大きな理由は、最近の国内外での発表に見られるように、いくつかの がんに対するはっきりした臨床的効果が認められることです。事実、これまで 治療法が極めて限られていたメラノーマ(悪性黒色腫)に対して劇的な効果が 認められ、日本および欧米において最近薬事承認されました。
また米国では肺癌に対しても今年の春薬事承認され、遠からず日本でも薬事 承認されることが期待されています。さらに、その他いくつかのがんに対しての 顕著な効果が報告されています。まさに免疫療法が、がんに対する第四の治療法 となることの幕開けが始まっています。
このような背景の中、今回「がん免疫療法」を主題としてその具体的な素晴らしさ、 医療現場の変化と期待、今後のさらなる開発研究のためのTR(橋渡し研究)の 課題等につき、4回シリーズでセミナーと討論、そして交流の会を開くことに いたしました。その第一回目といたしまして、下記を開催いたします。 皆様のご参加をお待ちしております。
日時:2015年10月27日(火)18時00分〜20時00分
場所:東京大学医科学研究所 1号館 講堂
東京大学医科学研究所へのアクセスおよびキャンパス・マップは下記サイトをご参照ください。
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/access/access/
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/access/campus/ (地図の9番の建物の正面入口を入って左側です)
会費: ¥1,000 (NPO健康医療開発機構会員、学生は無料)
定員: 150名
交流会:20時より (参加費:3000円)
場所:近代医科学記念館内カフェ Organic lab cafe CIAOBELLA with GIROLOMONI
参加ご希望の方は事務局sanka@tr-networks.orgまでご連絡下さい。
講演1:「医療現場でのがん免疫療法への期待と役割」
1.がんペプチドワクチン臨床試験の現場から
久留米大学先端癌治療研究センター がんワクチン分子部門 教授 山田 亮 先生
2. 免疫細胞療法臨床試験の現場から
東京大学医学部附属病院 免疫細胞治療学講座 特任教授 垣見 和宏 先生
講演2:「がん免疫療法治療薬のドラッグラグ?」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構 新薬審査第五部 部長 柴辻 正喜 先生
●更に第3回目以降は以下のテーマで開催する予定です。(日時、場所未定)
3回目 今後の速やかな開発推進のために
4回目 真に産官学民連携を進めるためには?
◎山田 亮(やまだ あきら)
久留米大学先端癌治療研究センターがんワクチン分子部門教授
1980年北里大学薬学部卒業後、同大学院薬学研究科(薬学修士)を経て九州大学大学院医学研究科修了(生体防御医学研究所免疫部門、医学博士)。 86年より久留米大学医学部免疫学講座。87年から89年まで米国カンサス大学およびハーバード大学ダナファーバー癌研究所へ留学。99年本邦初のがんペプチドワクチン臨床試験を開始。2003年より現職。同年、がんワクチンの実用化を目指して(株)グリーンペプタイドを設立。現在、同社取締役(非常勤)を併任。
◎垣見 和宏(かきみ かずひろ)
東京大学医学部附属病院 免疫細胞治療学講座 特任准教授
1988年京都大学医学部卒業、2014年より現職。
生体にはがんに対する免疫応答が存在します。標準治療として認められている手術、化学療法、放射線治療にも、がんに対する免疫応答が深く関与しています。 この免疫の力を積極的に活用し、がんの治療法の一つとして確立するためには、腫瘍免疫を正しく理解することが重要です。2004年6月に東京大学に開講した「免疫細胞治療学講座」は、分子免疫学的研究に基づいたがんに対する免疫細胞治療の基礎および臨床研究を実施し、がん治療における本治療技術の役割を明確にするとともに、がん治療としての基盤を確立することを目的として活動しています。各種がんを対象としたがんワクチン治療や細胞移入治療(自己γδT細胞治療や樹状細胞治療)を主として、手術、化学療法、放射線治療との併用を含む様々なプロトコールで新しい治療技術の臨床研究を計画・実施しています。
◎柴辻 正喜(しばつじ まさよし)
独立行政法人医薬品医療機器総合機構 新薬審査第五部 部長
平成4年 3月 東京理科大学大学院薬学研究科修士課程修了後、厚生省薬務局新医薬品課 入省 静岡県健康福祉部、厚生省生活衛生局食品保健課、医薬品機構治験指導部、内閣府総合規制改革会議事務局 課長補佐、世界保健機関本部事務局、 厚生労働省医薬食品局安全対策課 課長補佐、厚生労働省医薬食品局化学物質安全対策室 室長補佐、厚生労働省大臣官房厚生科学課 課長補佐、厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課 課長補佐を経て、平成26年 4月より現職。