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事務局ニュース【NO.2009-065】

【第16回健康医療ネットワークセミナー】

開催概要

日時:2010年1月26日(火) 18時30分〜20時30分

場所:東京大学医科学研究所 2号館2階大会議室

東京大学医科学研究所へのアクセスおよびキャンパス・マップは下記サイトをご参照ください。
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/access/access/
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/access/campus/ (地図の10番の建物です)
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/access/campus/campus_bld.html#section1

会費: ¥1,000 (NPO健康医療開発機構会員は無料)

講師: 色平哲郎 佐久総合病院地域医療部 地域ケア科 

講演タイトル: 「すきな人とすきなところでくらし続けたい」(「21世紀前半の日本社会に於ける最大課題とは?」)

参加申し込みについて

参加ご希望の方は事務局sanka@tr-networks.orgまでご連絡下さい。
なお、特にお申し込み受付のご連絡はいたしませんが、会場の都合により定員に達し次第、申し込みを締め切ることがございますので、 その場合のみご連絡いたします。ご了承ください。

プログラム

講演概要:

近年、「医療・介護」と「住宅建築」の距離が近づいている。 これまでにも高齢者向け賃貸住宅などの制度はあったが、補助金による新築が主体で「景気浮揚策」と抱きあわだった。

そして補助金が切れると施設には閑古鳥、そんな例が後を絶たなかった。いったい誰のための住宅政策か。

住宅はヒトの「生存権」にかかわる重大テーマであるにもかかわらず、国交省と厚労省の「タテ割り」行政の弊害もあって、両者の距離はなかなか縮まらなかった。

だが、2007年、医療法人に「高齢者専用賃貸住宅」(高専賃)の建設・運営が解禁され、徐々にではあるが「医療・介護」と「住宅建築」との距離感が縮まってきている。

たとえば、福岡市で医師がはじめたケアつき住宅「楽居」(らっきょ)もそのひとつ。5階建て施設の1階が診療所、2階がデイケアセンターで、3階部分が9人収容のグループホーム、そして4階5階が14の個室に分かれているという。

施設理念は「選択の機会と自由」と「個人の尊重」、そしてなんと「穏やかな死の援助」なのだという。

東京都品川区では、都営住宅の跡地を再開発し、5人定員の小規模多機能施設と訪問看護ステーション、40室の高齢者優良賃貸住宅「高優賃」、加えて40室の住み替え住宅、これらからなる公営複合施設を2011年に開設するという。

これらは一ヶ所に「医療・介護」と「居住」を集約した「複合体」だが、一方、高齢者がくらす小規模施設を介護や医療の地域ネットワークで支える形態も広がりつつある。

認知症ケアの「特効薬」はグループホームであり、「通って、泊まれて、住まう」この三拍子が融通無碍に溶けあって揃っていることが「小規模多機能」の条件だ。

さまざまな形態と工夫が、全国各地で「住」を支えている。

今後、どちらを選択するかは、地域ニーズによって定まってくることだろう。

とともに、医療・介護従事者のマンパワー=ヒューマンウェアを、各々の施設にいかに配分するのかが、今後、大きな政治課題になってくる。

住民の多様な意見を吸い上げ、声なき声を聴きとどめ、地域ニーズを的確にとらえる手法がもとめられる。

都道府県別の上位高齢者数の統計をみると、2002年〜2015年の高齢者増加率は一位埼玉県77・4%、二位千葉県68・3%、三位神奈川県60・7%と、東京都に隣接する三県が飛びぬけて高い。

私はこれを「三県問題」と呼んでいるが、高齢者の急増は「終の棲家」をどのように確保するかという世界各国共通の難題を突きつけてくる。

福祉は住宅からはじまる。

いま、多くの声なき声が「ケアつき住宅」、さらには「ケアつきコミューニティー」を待望している。

日経メディカル 09年11月30日より
「ケアつき住宅」そして「ケアつきコミュニティ」
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/200911/513305.html
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色平哲郎(いろひら てつろう)
1960年横浜市生まれ。1978年東京大学入学、1990年京都大学卒。内科医。
1998年から10年間、長野県南相木(みなみあいき)村国保直営診療所長。
08年春からJA長野厚生連・佐久総合病院地域ケア科医師。
京都大学医学研究科非常勤講師。

【略歴】
医学教育や国際保健活動に関わる一方で、一般内科医として訪問診療・在宅ケアを担当 する。
外国人HIV感染者・発症者への「医職住」の生活支援、帰国支援を行うNPO「アイ ザック」 の事務局長としても活動を続ける。こうした活動により1995年、タイ政府より表彰 を受ける。

現在は、通算12年間の村国保診療所長としての経験を生かしながら、 大学での講義、医療経済やメディカルリテラシーに関わる市民向け講演を担っている。

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