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事務局ニュース【NO.2009-046】

【第12回健康医療ネットワークセミナー】

開催概要

日時: 2009年6月2日(火)  18時30分〜20時30分

場所: 東京大学医科学研究所 2号館2階大会議室  

東京大学医科学研究所へのアクセスおよびキャンパス・マップは下記サイトをご参照ください。
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/access/access/
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/access/campus/
(地図の10番の建物です)
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/access/campus/campus_bld.html#section1

会費: ¥1,000 (NPO健康医療開発機構会員は無料)

参加申し込みについて

参加ご希望の方は事務局info@tr-networks.orgまでご連絡下さい。

プログラム1

講演タイトル:「先進医療における患者・医療者のコミュニケーション」

講師:畑中暢代先生 東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携部門 特任研究員

講演概要:医療の現場では、患者と医療者のコミュニケーションの難しさが指摘され、患者満足 度に影響する因子として、医師のコミュニケーション力が上位に挙げられています。
スタンダードな医療の現場において、コミュニケーションスキルは医療者に当然のよ うに求められます。そのような中、先進医療においての患者と医療者のコミュニケー ションは、さらに難しい課題があります。探索医療の位置にある膵島移植医療の現場 をモデルに下記について話をすすめ、コミュニケーションの問題を検討します。

・インフォームドコンセント
・自己選択決定権
・患者と医療者の間の壁
・レスポンスシフトについて
・オートノミーについて
・お互いの役割について

畑中暢代先生略歴:1988年 看護師免許取得後、神戸大学病院に勤務。2006年 膵島移植チームで レシピエントコーディネーターを専属で担当。2007年 東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携部門(08年より教室名名称変更) 特任研究員として在籍し、日米の膵島移植医療の患者のQOL研究に従事。

プログラム2

講演タイトル:「リテラシーってなんだ?」

講師:西根英一氏  マッキャンヘルスケアワールドワイドジャパン

講演概要:医療現場には、「なぜ患者と医者は理解し合えないのか?」という永遠の謎が存在する。それがリテラシー向上の一部の障害となっている場合もある。これは単に、医師の一部が自覚するコミュニケーション下手が原因ではない。その探索を、行動科学的アプローチに求めることにする。
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リテラシー向上のためのプログラム 1)医療情報の伝達ルートには、大きく分けて2つが存在する。医療者から医療者へのコミュニケーションと、医療者から生活者へのコミュニケーションである。前者はエビデンス・ベースドで語られるが、後者の場合、情報の送り手(医師)がエビデンス・ベースドであるのに対し、受け手(患者)がインサイト・ベースドであるがゆえに両者の間には見えない壁が存在する。インサイトとは、広告心理学において深層心理・根源的欲求を意味する。つまり、エビデンスを「情報」として画一的に注ぎ込んでも理解し難く、情報を「知識」化すること、さらに知識を「知恵」に変えるという、受け手のインサイトに照らし合わせて個別アプローチする情報開発が求められる。

2)患者の期待値、価値観、満足度と医師のそれらとは異なるため、医師のかかげる治療のエンドポイントは、必ずしも患者にとってのゴールとならない。これは医師と患者のピークエンドのずれが原因であると推測される。医師にとって、ピークは治療のエンドポイントに達したときであり、絶頂感(ピーク)と達成感(エンド)がイコールで結ばれる場合が多い。一方、患者は、ある一つの治療のエンドポイントを獲得すると、すぐさま次の目標を設定する。よって、医師が提供する医療行為への評価は歪みやすい。

3)多くの場合、患者は簡単に満足しないし、満足してもいつしか飽きるし、さらに次を期待するという消費行動そのものを取ることを、医師は臨床現場にて経験する。これは、患者がレスポンスシフトを起こしているものと考えられる。レスポンスシフトとは、いま何が必要で何を優先させれば幸せかを希求する消費者の生活ステージごとの選択行動を行動経済学的に捉えたものである。患者インサイト(病気と立ち向かう)と生活者インサイト(生活を楽しむ)という2つのインサイトを内にもつ患者は、「ふわふわした気持ち」を常に抱えており、この間を常に行き来している。
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リテラシーを向上させるには、1)「ココロで気づく」(Awareness)、2)「アタマで分かる」(Endorsement)、3)「カラダで覚える」(Involvement)が求められる。リテラシーとは、「情報を知識へ、知識を知恵に変える力」であり、このリテラシーの獲得がすべての行動変容の素になり、ヘルスコミュニケーションを成立に導く原動力となる。

西根英一先生略歴:メディカルプロデューサー。日本メディカルライター協会、日本医学ジャーナリスト協会、日本臨床腫瘍学会の正会員ほか。NPO法人EBH推進協議会の統括事業部長(初代・事務局長)。勤務先のマッキャンヘルスケアワールドワイドジャパンでは、オンコロジーと生活習慣病のメディカルコミュニケーション部門、EBH(エビデンス・ベースド・ヘルスケア)に基づくウエルネスマーケティング部門、産官学連携のパブリックヘルス部門のヘッドを務める。雑誌・書籍の執筆、ヘルスコミュニケーションや患者学に関する講演ほか。E-mail: Eiichi.Nishine@ap.mccann.com

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