特定非営利活動法人健康医療開発機構は、「健康と医療(いのち)」をキーワードに日本のアカデミアに於けるトランスレーショナルリサーチ(TR;橋渡し研究)の推進により人類に早く新しく有用な医療を提供することを目指しています。
日本のアカデミアを主体としたトランスレーショナルリサーチを推進する為の課題や問題点については、これまでにもいろいろな機会と場で検討が行われてきました。NPO健康医療開発機構では、昨年度“Lesson&Lecture”シリーズを6回開催し、日本でTRにつき先進的な仕事を進めておられる先生方に、お仕事の内容を話していただくと共に、立ちはだかる様々な課題をどう克服してきたかにつき経験を話していただきました。日本のTRを取り囲む多くの課題に対し、課題の抽出に止まらずどうすれば乗り越えられるのかという内容は、NPOと参加者の方々にとっては強い励ましとなりました。
本年度も、下記の先生方に同様の趣旨でお話していただくべく、“Lesson&Lecture”シリーズ2008を開催いたします。今後日程が決まり次第順次ご案内して参ります。 今後とも、日本におけるトランスレーショナルリサーチ推進のためにさまざまな活動を展開していく所存でございますので、皆さまのなお一層のご支援・ご協力を賜りたくお願い申し上げます。
〒108-8639東京都港区白金台4-6-1
東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターDNA情報解析分野内
TEL:03-5795-0096
FAX:03-5795-0098
E-mail: jimu@tr-networks.org
場所:トヨタ九段ビル地下会議室 102号室
講師:岡山大学大学院 遺伝子・細胞治療センター 准教授 藤原 俊義 先生
講演要旨:私たちは、アデノウイルスを基本骨格とするウイルス製剤のがん診断・治療への応 用を進めています。
テロメラーゼ活性依存性に増殖し細胞死を誘導する腫瘍融解ウイルス製剤Telomelysinは、 米国での進行固形がんに対する第I相臨床試験を終了し、現 在、 第II相臨床試験の準備中です。
また、 TelomelysinにGFP遺伝子を搭載した診断用ウイルス製剤TelomeScanを用いて、体外的に血中浮遊がん細胞を検出するシステム を確立し、消化器がん患者での臨床研究を進行中です。
<交通のご案内>
[地 下 鉄]九段下駅出口2より徒歩7分
〒102-0074 東京都千代田区九段南2丁目3番18号 トヨタ九段ビル
TEL (03)3237-0834
FAX (03)3263-5922
※当日は受付で、Lesson & Lectureへの参加である旨を伝えて、地下1階の会議室にお越しください。
会場のトヨタ九段ビルは18時半以降正面玄関が閉まりますので、18時半以降は、正面向かって右側の夜間通用口よりお入り下さい。
場所:トヨタ九段ビル地下会議室 104号室
講師:京都大学大学院医学系研究科発生発達医学 教授 中畑 龍俊 先生
講演課題:「造血幹細胞治療」
場所:トヨタ九段ビル地下会議室 102号室
講師:東北大学大学院工学研究科 生物工学専攻教授 熊谷 泉 先生
講演課題:「新規組み換え抗体」
講演要旨:次世代型のがん治療抗体の創製を目的として、がん関連抗原特異抗体とリンパ球抗原特異抗体を組み合わせた二重特異性抗体を各種開発して来た。
その中で抗EGFR抗体と抗CD3抗体を組み合わせた二重特異性抗体に顕著な抗腫瘍効果を見出し、大学発シーズとして、臨床への橋渡しを目指している。
場所:トヨタ九段ビル地下会議室 102号室
講師:中部大学応用生物学教授 小林 猛 先生
講演課題:「マグネタイトの治療応用」
講演要旨:悪性腫瘍部位だけを加温する温熱療法を開発した。マグネタイト微粒子を悪性腫瘍部位に集積させ、交番磁界を照射すると、磁性微粒子だけが発熱する性質を利用した。
加温に伴って熱ショックタンパク質が多量に生成し、これを介して、がん細胞特有の免疫活性が強く賦活される。
進行期のメラノーマと再発乳がんを対象とした臨床研究を信州大学医学部皮膚科と名古屋大学医学部附属病院乳腺・内分泌外科と共に進めており、その状況について紹介する。
開催場所:トヨタ九段ビル地下会議室 102号室
講師:大阪大学微生物病研究所教授 目加田英輔 先生
「バイオがん治療薬」
講演要旨:「私たちは細胞増殖因子HB-EGFの阻害剤であるCRM197を有効成分とする癌治療薬の開発を進めています。
文科省がんトラ
ンスレーショナル事業の支援を得て、平成19年12月から卵巣癌を対象とした医師主導治験(第1相臨床試験)を福岡大学病院にて実施しています。
講演では、(1)分子標的としてのHB-EGF、(2)CRM197開発の経緯、(3)治験の現状と問題点、
についてお話しをさせていただきたいと考えております。」
開催場所:トヨタ九段ビル地下会議室 104号室
講師:東京大学医学部附属病院トランスレーショナルリサーチセンター(脳神経外科) 特任教授 藤堂 具紀先生
講演課題:「ウィルス治療」
講演要旨:ウイルス療法はがん細胞で選択的に複製する増殖型ウイルスを用いて、ウイルスの直接的な殺細胞効果によりがん細胞を破壊する治療法である。
ウイルスゲノムの遺伝子操作により人為的に治療域を拡大することが可能で、特にがん治療に適した特長が多い単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は、最も早くからがん治療用遺伝子組換えウイルスとして利用されている。
我々は強力な抗腫瘍効果を呈しながら高い安全性を有する第三世代遺伝子組換えHSV-1(G47?)を開発し、我が国における臨床応用を進めている。
あらゆる固形がんに有効と考えられるが、最初は再発膠芽腫患者を対象とした臨床研究を実施する。
非臨床試験、ウイルス製剤の国内cGMP生産、GCP品質テストは完了した。厚生労働省の承認が得られ次第開始する。